11.情勢の変化と北海道の学校事務

私たち学校事務職員を取り巻く情勢が昨今大きく変化しつつある中で、情勢の分析及びこれからの「北海道の学校事務」の在り方について、2016(平成28)年10月6日の第1回職務検討委員会で諮問がされ、2018(平成30)年6月21日に至るまで10回の委員会審議を経て、職務検討委員会答申が出されました。

以下はその要旨です。

 

2015年の中教審答申で「チーム学校」という概念が明確に打ち出されました。この答申の中で学校事務職員に直接関わる内容としては、「教員が子供と向き合う仕事に取り組めるように」「副校長・教頭が教員への指導等に取り組めるように」「副校長・教頭・教員が現在担っている管理的業務・事務的業務を事務職員が更に担っていくことも効果的」とまとめられています。

また、共同実施を行うことで学校事務を効率化し、事務職員が副校長・教頭等の「補佐」を行う、という方向性も示されています。

こうした方向性は、続く2016年の「次世代の学校・地域」創生(馳プラン)、「学校現場における業務の適正化に向けて」、「次世代の学校指導体制の在り方について(最終まとめ)」、2017年の「学校における働き方改革に関する緊急対策」でより具体的に述べられています。

更に、2017年の「義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律」により、学校事務職員の職務について従来の「事務に従事する」から「事務をつかさどる」へ変革されました。

この法改正では更に、「共同実施」と呼ばれていたものが制度化され、「共同学校事務室」という形で具現化したと言えます。

共同学校事務室はすでに道内でも設置された自治体もあり、今後もこの動きの拡大が予想される中で私たちの喫緊の課題は、北海道の学校事務が提唱してきた「学校間連携」組織を立ち上げ、学校間だけでなく教育委員会とも連携して学校課題に取り組むことです。

学校事務職員に関しても職務標準表の作成を進める動きが全国的に目立ってきています。もしこれが整備されることになった場合には、私たちもそこに関わり、単に個業を羅列するだけでなく、「全ての業務は子どもの教育を受ける権利を保障するためのものであること」という目的を明確に掲げるべきであると考えます。

学校事務職員に教頭等の補佐的な役割を担わせたり、教員が行ってきた業務に従事させようといった校内業務の再配分の動きについては、一つ一つの業務内容を精査しつつ、更には校内組織・関係機関・家庭・地域それぞれが担うべき役割を改めて問いかえす視点を維持し、調査等の一切を回すことによって結果的に学校事務職員を行政の末端に位置づけるのではなく、また事務職員の多忙化だけで終わらせることのないよう、早急に検討し対処してゆく必要があります。

学校を子どもたちの生活の場と捉え、子どもの教育を受ける権利を保障し、教職員との協力・協働の中で私たちが目指してきた「学校づくり」、そして継承してきた「領域」を軸として常に職の本質を問いかえしながら、教育現場の中で学校事務職員が子どもたちのために為すべきことを問いかえし続けることこそが、私たちの目指す方向だと考えます。

 

資料PDF:職務検討委員会答申 私たち学校事務職員を取り巻く情勢の分析及びこれからの「北海道の学校事務」の在り方について

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