里山を創った学校事務職員

北海道公立小中学校事務職員協議会 会長 常陸 敏男(ひたち としお)

2013フォーラム

皆さんは「ふらのフォーラム」をご存じでしょうか。学校間連携の取り組みを中心とした実践報告や交流を全道規模で行おうという趣旨で、北見市・石狩市・富良野市の学校間連携に関わる事務職員有志が中心となって立ち上げ、第1回のフォーラムを2011年に富良野市で開催し、全道から約100名を超える学校事務職員・教育行政職員・研究者らが参加しました。2013年は栗山町の「雨煙別小学校コカ・コーラ環境ハウス」で開催をしたのですが、なぜ栗山町かというお話をします。ちなみに掲載の写真は、2013フォーラムでプログラムに組み込んだ自然体験学習での参加者の皆さんです。皆さんの後ろにはハサンベツ川という小川が流れているのですが、そこに棲む水生昆虫や小魚を捕獲して観察するというプログラムを参加者自身が体験し、自校での自然体験学習計画や環境教育プログラムへの参考にしようとしたものです。実際のこのプログラムに参加した事務職員が、自校の校外学習に組み込むよう取り組み、実現している例もあります。2013フォーラムの公式記録は次のアドレスで参照できるので、まずはご覧になってください。

http://irenkei.sub.jp/top/newpage12.html

ハサンベツ里山計画で中心的な役割を担ってきたのが、元学校事務職員の高橋慎さん(写真最前列右端)です。高橋さんは現職の頃からハサンベツ里山計画に関わってきており、その取り組みの様子を様々な研究会の場で実践発表されてきました。2013フォーラムで実際にその様子を見ることができ、このような形ではありましたが、多くの仲間が参加し体験することで、高橋さんの取り組みに応えることができて嬉しく思います。

その高橋さんですが、この度博報賞という教育賞を受賞されました。博報賞のウエブサイトによると「博報賞は、児童・生徒に対する日常の教育現場で尽力されている、学校・団体・教育実践者を顕彰することを通して、児童教育の現場を活性化させ、支援することを目的としています。」となっています。今回の第46回の受賞者は全国から81件の推薦があったなか16の団体・個人の受賞ということですから、極めて高い評価を受けたことになると思います。また、審査委員長の講評には「現地調査によって国蝶オオムラサキの北東限生息を発見したことを契機として自然環境保全をテーマとした息の長い多様な実践活動を、公立学校事務職員というユニークな立場で展開してきた。魅力ある教育プログラムを開発するなど、町民活動のリーダーとして関係諸団体と連携しつつ、『ふるさと教育』に多大な貢献をしている。」と記載されていました。“公立学校事務職員というユニークな立場で”という記述は、学校事務職員がこのような形で活動すること自体が珍しいというような意味なのでしょうか。その意味するところはよくわかりません。しかし、博報賞のウエブサイトでは、1970年以降の1171件の過去の受賞内容について検索できるページがあり、そこに用意された「特定非営利活動法人(NPO法人)、地域、環境・自然・保全・保護、農村・山村・郷土・ふるさと、体験型学習・体験教育」などのどのキーワードでも該当する賞はありませんでした。ということは、今回の受賞自体、他にないと言う意味で「ユニークな」取り組みなのかもしれません。いずれにしても、私たちの先輩事務職員が高い評価を得たことを誇りに思うとともに、過去の全道事務研で設置されていた「地域社会と事務職員」という難しいテーマを忘れることなく引き継いでいくことが大切(現在は第3分科会 学校づくりと学校事務 で扱うことになっています)だと思った次第です。また、今回の応募にあっては栗山町の鈴木前教育長(ふらのフォーラムでのご講演をいただきました。)の強い後押しがあったと伺っています。その意味でも、この取り組みが栗山町の地域の教育として大きな位置を占めていたことが伺えます。私たちも、日常の活動が地域や教育行政と連携し広がるよう、学校間連携などの取り組みをもっと進めて行きたいものです。

高橋さんのますますのご活躍をご祈念申し上げます。

※なお、高橋さんは自然保護に貢献した個人や団体に前田一歩園財団(釧路市)から贈られる「前田一歩園賞」も受賞されました。

2015年11月6日