全道研修担当者研修会が開催されました。

北海道公立小中学校事務職員協議会 会長 常陸 敏男(ひたち としお)

2013-12Photo
室蘭 地球岬 (6×7レンジファインダーカメラ+リバーサルフィルムで撮影)

11月22日に「全道研修担当者研修会」が開催されました。例年この研修会で次年度の全道事務研の概要が示されますが、今回の研修会では次々年度の第65回旭川大会以降の全道事務研における分科会構成の基本的考え方についても提案させていただきました。

その要点は第一に、64回網走大会では、今年の63回石狩大会で採用した第1分科会の分散会形式を、以前のような分科会形式に戻したことです。具体的に は「第1分科会 学校財政財務活動の具体的展開」「第2分科会 保護者負担の現状と公費化の取り組み」「第3分科会 学校づくりと学校事務」「第4分科会  学校事務再発見~経験年数の少ない人のために~最終年次(仮称)」「第5分科会 領域の普遍化に向けて(「問う・創る・繋ぐ」の検証)(仮称)」の五つ の分科会を設置する提案をしました。さらに第1から第3分科会までに「期待する実践報告」という項目を設定し、問題提起が何に重点を置いた発表となってい るのかを発表支部に示してもらうようにしました。例えば第1分科会では「期待する実践報告」として、「校内予算の作り方」「予算要望活動の実際」「子ど も、保護者アンケート」「教材整備計画」「備品整備計画」「教育課程と学校財政」「施設設備の充実」「学校行事と予算」という具合に項目を示しているの で、発表支部はこの項目の中から発表内容に係わる項目を予め公表してもらうということです。なお、65回旭川大会からは、網走大会の「第3分科会 学校づ くりと事務職員」を分割し、「第3分科会 学校づくりと事務職員」と「第4分科会 学校運営と事務職員」にしたいと考えています。
二つ目の要点は、これまでのレポート発表は基本的に「支部発表」すなわち支部の研究の積み上げをレポートにして発表するという了解がありましたが、64 回大会以降、この原則に加えて支部推薦による個人実践もレポートとして採用することとしました。その結果、一つの分科会のレポートがこれまでの慣行の2本 から最大5本程度になることも想定することにしました。

なぜそのように提案したか・・・
今年の63回石狩大会で、それまでの1~3分科会を1つの分科会に統合して、そこに3つの分散会を配置することにしました。62回空知大会までの本部所 管を除く分科会構成は、「第1分科会 学校づくりと学校事務」「第2分科会 これからの学校事務を考える」「第3分科会 地域づくりと学校間連携」となっ ていました。遡れば「学校づくり・これから・地域」という三つのキーワードは第54回石狩大会から使われ続けてきています。それ以前は「学校財政財務・教 育情報」が分科会のキーワードでした。全道事務研要項を再度ご覧いただけたらと思います。
さてそこで、63回石狩大会の各支部発表レポートの表題はというと、①学校間連携を考える ②学校間連携を意識した領域実践 ③次世代に何を繋ぐか~経 験者から若い世代になにを伝えるべきか ④研修のあゆみと名寄ブロックでの研修報告 ⑤学校事務情報の共有~特殊事例収集活動及びその発展~ ⑥領域実践 をとおして諸問題を考える~学校間連携・領域の実践 キーワードは共有化~ となっています。このように整理してみると、分科会にレポートを割り当てる難 しさが分かっていただけると思いますが、どうしてもミスマッチになってしまうものですから、苦肉の策として分科会テーマを「これからの学校事務、学校・地 域づくりと学校間連携」として分散会方式にしたわけです。
しかし、分散会方式でやってみて、各支部アンケートの結果でも特に大きな問題の指摘はありませんでしたが、やはり分科会設定の意義が曖昧になっているよ うに感じられました。分科会テーマ設定が曖昧になるということは、期待する議論が曖昧になるということに繋がるのではないか、そんな疑問もありました。そ こで再度しっかりと分科会テーマを定めて、それを目安に各支部研究を進めてもらうことにしました。これが一つ目の理由です。
それから、やはり重要なのは全道事務研の活性化です。研究大会参加者は正確な記録を見ていませんが、10年前は一千名を超えていたのが、今は六百名強と いう状況です。原因の一つとして旅費配分の削減が挙げられるものの、全道事務研の活性化は各支部研究推進の活性化と表裏一体であり、全道事務研参加者数は 日頃の研究活動の指標とも言えます。ですから、運営サイドからはやはり参加者を増やすという課題は重要です。しかも、実践研究の充実という最優先事項の上 で参加者増を実現したいのです。そこで考えたのは、出来るだけ多くの支部にレポート発表をしてもらうこと、そしてそのためにはまず、分科会のテーマを明確 にして、その分科会ではどのような内容を扱うのか明確にすること、そして支部推薦個人レポートの発表を「解禁」することで優れた個人実践を発掘していただ き、且つ分科会における「実践交流」の活性化をすすめること、などです。

このような提案に対して、支部研修担当の皆さんから多くの意見をいただきました。主だった意見としては、「期待する実践報告」を設定することや個人レ ポートを可とすることで、はじめに発表ありきの雰囲気となり、支部の自由な研究を縛ることになりはしないか、というものがありました。これについては、 「全支部が必ずレポート発表する」訳ではないことを確認し、「期待する実践報告はレポートの主要部分が参加者に分かるようにする趣旨である」という説明で ご理解をいただきました。一方で、「『期待する実践報告』が設定されることで、地元での課題設定がしやすくなると思われる」という意見もありました。
ただ、私としては「期待する実践報告」については、出来るだけ各支部が意識をしながら研究を進めていってほしいという気がします。なぜならば・・・支部 研担から出た意見には、(「研究テーマが学校間連携に偏りすぎている」という研修担当理事の説明に対して)「学校間連携の推進が全道協議会の方針なのだか ら、学校間連携に関するレポートが多いのは問題ないのでは?」というものもありました。これは、全くその通りという前提で話しますが・・・学校間連携が提 起され早いものでもう10年になりました。10年経って「学校間連携はまだまだ進んでいない」「何とかここまでたどり着いた」と、両方の評価があると思い ます。全道の研修状況一覧表(まもなくホームページに掲載されると思います)を見ると、支部・ブロックテーマのどこにも「学校間連携」が出てこないのは7 支部ですので、確かに微妙なところではあります。しかし、10年経ったからには、少なくとも「学校間連携で何に取り組むか」「どうやって連携組織を作るの か」という段階からはレベルアップして、具体的実践、取り組みと成果を発表できるようにならなくてはなりません。そこで、「期待する実践課題」に係わる実 践や取り組みと成果を発表してもらいたい~課題の共有化とよく言いますが、課題の共有化で止まっているなら「期待する実践課題」から課題をピックアップし て実践・取り組みを進めてください~というのが、私の願いです。

今後の全道事務研に係わって、この度の研修会での提案内容について、私見も交えてお話ししました。これ以外にも、これまでとは違った進め方を幾つか考え てみました。特に会員討議に付す予定はありませんが、機会があれば支部内で私たちの提案を検討していただけたら幸いです。

2013年12月3日